12月7日(土)に、掘削作業が再開されると、 翌日の時計台の完成が 大いに期待されました。
◇
ところが、
作業は なかなか順調に進みませんでした。
旧大時計を支えてきた 地中深く埋まっているパイプや、 それを固定する金具が想定外に強固で頑丈に設置されていたため、 普通なら簡単に引き上げることが出来るであろうパイプが、 びくともしませんでした。
目に見えない深い位置で 複雑に固定されていたパイプ。
掘削作業の条件は、 新大時計の直立ポールに合わせた直径と深さを確保することです。
そのために、 地中に埋まった古いものの全てを 先ずは取り除く必要がありました。
◇
最終的に、
固くて分厚い 鉄製のパイプは、 ガスバーナーで溶断することになりました。
バーナーの飛び散る火の粉は、 まるで打ち上げ花火のように 暗くなった時計台周辺を 明るく照らしました。
◇
予定の時刻を2時間ほど過ぎて、 作業が終了しました。
作業員の一人が、
「 すみません、 先に帰らせてもらいます。 」
「 早く行ってやれよ。 」
娘さんの誕生日だったそうです。
そう言えば、 電話が何度も鳴っていたのを思い出しました。